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里山の整備・管理活動を行い、自然に親しみながら会員の親睦と健康維持などを目的としています。


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カテゴリ:今月の樹木( 117 )

菅さん 提供

ヤブサンザシ(藪山査子 落葉低木 雌雄異株 スグリ科)          

                                   花期45月  果期1011

 以前に沢山採れたらジャムを作ってみようと思い、庭の隅で育てていたスグリの実は熟しても緑色のままでしたが、秋の山歩きでは林縁などで真っ赤に熟してはち切れそうになったスグリ科のヤブサンザシの実を目にすることがあります。


 ヤブと名の付く植物には、藪に生えるという意味と人の役に立たないという意味で付けられるものがありますが、ヤブサンザシは暗い藪の中では見られず、日当たりの良い崖や大小の石が混じるガレ場で見られますので当然後者の意味になります。

 人の役に立つサンザシはバラ科の植物で、健康食品や薬用として用いられスーパーフードとして高い評価があるのに対して、ヤブサンザシの実は食用にはならず薬効もないようです。そのようなところからヤブサンザシの名になったようです。

 ヤブサンザシに出会った当初、見た目に美味しそう見える実に惹かれて口にしたことがありますが、食用のスグリとは大違いで本当に不味いものでした。

 小さい薄黄色の花は目立たないうえ実も食用になりませんが、実の美しさから庭木や盆栽としては利用されているようです。

 樹高は成長しても1メートルほどですが、地際からも一つひとつの枝からも良く枝分かれするためある程度の場所は必要としても、庭木として利用する場合は自然の中の生育環境からみてあまり手間はかからないと思われます。

 秋の深まりにつれ、瑞々しかった赤い実は次第に萎びてきて、ススキの穂と並んでいる様子などを見ると、過ぎゆく秋をいやがうえにも感じさせるものとなってきます。


 庭に植えれば、秋の感傷に浸る格好の庭木の一つになるかもしれません。


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by str1685 | 2018-11-26 17:49 | 今月の樹木 | Comments(0)

今月の樹木

菅さん提供

アワブキ(泡吹 落葉小高木 アワブキ科)          

                                      花期6月  果期910
 アワブキは谷筋に多く見られる樹木で、幾つもの側脈が並行に並ぶ20cm前後にもなる大きな葉を付け、秋には赤い実を付けます。

 アワブキの名は、材を火にくべると火のついた反対側の切り口から泡が吹き出すことから付けられたというものが一般的ですが、白色の小花が寄り集まって咲いている様子が泡のように見えるためという説もあります。


 花も泡に見えなくもないですが、薪が主な燃料だった昔は切り口から出てくる盛んな泡は他の材と比べて顕著なことから、この泡に因む方言名も幾つかあるようで、生活に密着した前者の説が有力なように思えます。

 かまどに薪をくべてご飯を炊いていた子供時代の頃、薪の端から泡と共ににじみ出る液体を興味本位で舐めて舌を刺すようなえぐみでえらい目に遭ったことがありますが、この液体の成分は、虫除けにも使われる炭を焼くときに出る木酢液と似たようなものでしょうから、舐めてえらい目に遭うのも当然です。

 この時の薪がアワブキだったかどうかは定かではありませんが、野山で木の実などを見るとつい口に運んで味を確かめてみたくなる性分は、今にして思えばこの頃から培われていたようです。


 泡と言えば、左党の人はビールの泡を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、水の泡、泡を食うなどのように泡を使った言葉はいい意味ではあまり使われません。泡を吹くと言えば気を失って倒れるという意味で、まともに稼いだお金でないものをあぶく銭という言い方をしますが、あぶくは「泡沫」(あわぶく)が語源とも言われています。


 樹木のアワブキも用途の面からみれば、材は割れや狂いを生じやすいので木材には適さず、せいぜい薪として利用される程度という評価がもっぱらです。

 人の役には立たなくても、万華鏡をのぞいた時のような幾何学模を翅に持つスミナガシという美しい蝶の食草になったり、秋の実は鳥たちのご馳走になり、自然界では立派な役割を持っています。

 庭木や公園樹としては見かけませんが、真っ赤な実と共に大きな葉の黄葉も美しく、もっと高評価されても良い樹木の一つだと思います。

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by str1685 | 2018-10-20 19:23 | 今月の樹木 | Comments(0)

今月の樹木(2018年09月)

菅さん提供

センニンソウ(仙人草 つる性半低木 キンポウゲ科)           

                                花期89月 果期1011

 センニンソウは基部が木質化する半木本性のつる植物で学名にClematis ternifloraとあるように園芸で人気のクレマチスと同科同属です。

 センニンソウとそっくりの花を咲かせ、よく比較される植物に同じく同科同属のボタンヅルがあります。どちらも他の植物に絡まって沢山の花を咲かせます。

 花を見比べてみるとボタンヅルはわずかに黄色みを帯びていて雄しべがよく目立つためにぎやかな感じで、一方のセンニンソウの花は純白で清楚感がありボタンヅルより大きめです。

 両者の共通点は果実が似ている点にもあります。どちらの果実にも先端に雌しべの花柱が残っていて、熟すにつれて花柱に白い綿毛様の毛が密生し、種子が熟しきると風を受けて飛んでゆきます。

 この果実の白い毛を仙人の髭になぞらえて付けられたのがセンニンソウということですが、名付けた人にはセンニンソウの方の髭がボタンヅルより長いため立派に見えたのでしょうか。

 方やボタンヅルの方は、葉の切れ込みの形から花の王様と言われるボタンにあやかった名をもらっていますので名前ではどちらもいい勝負ということになりますね。


 センニンソウの花は大輪の花を咲かせるクレマチスと比べると見劣りはしますが、大きく広がったつる全体に真っ白な花が咲くさまは壮観で、初秋の気配を感じるころに晴れ渡った青空を背景にした花を目にすると爽やかな印象を受けます。

 花の美しさから家庭園芸に用いられることもあるセンニンソウですが、つるが伸びすぎた場合は秋に地際近くで剪定すればよいとのこと。木質化した半木本性の強みで翌年にはそこから新芽が出

るそうです。ただ、キンポウゲ科の植物には毒が有り、このセンニンソウも例外ではないので剪定などの管理には注意が必要です。


 クレマチスはつる植物の女王と言われているようですが、日本の原野に自生する絶滅が危惧されているクレマチスで、女王の名に恥じない大輪の花を付けるというカザグルマの花を自然の中で一目なりとも見てみたいものです。


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by str1685 | 2018-09-19 07:59 | 今月の樹木 | Comments(0)

今月の樹木(2018年08月)

菅さん提供


ウリノキ(瓜の木 落葉低木 ウリノキ科)           

                                     花期6月 果期89

 8月半ば、避暑を兼ねて山道を散策していると、近くにウリノキが可愛らしい姿の花を咲かせていたことを思い出し、立ち寄ってみることにしました。

 ウリノキの名の由来は、葉の形がウリの葉に似ていることからそのように呼ばれています。ウリとは無関係のウリハダカエデの葉ともそっくりです。

 ウリノキは滅多に見かけない樹木で花にはなかなか出会えませんでした。この山道は良く利用する山道ですが、ここにあるウリノキはずっとウリハダカエデと思い込んでいましたので花にめぐり会える機会を長い間 のがしていたことになります。


 数年前に偶然ここで花を初めて目にしたときは、花に出会えたうれしさと同時に我が身の観察眼の無さを思い知ることとなりました。(かえで)(たぐい)の葉はどれも対生でウリノキは互生という明確な違いがありますので、ちょっと注意してみれば違いは一目瞭然なのですが、遠目でしか見ていなかったということで自分を納得させました。

 ウリノキの葉は大きなものでは差し渡し20cmにもなりますが、実の大きさは1cmにも満たない大きさで、キュウリやメロンのようなウリの仲間の実が大きくなるのとは対照的な大きさです。

 この時期の果実はすでに濃紺色になって完熟しているようでした。多くの図鑑などには果実は藍色に熟すと記載されています。確かに結実直後の緑色から鮮やかな藍色に変化していく時期はありますが、濃紺色の果実は柿に例えれば熟柿(じゅくし)のような状態ということになるのでしょうか。


 仙台の七夕飾りに見られるような形の花は一度見たら忘れられない花です。愛くるしい花と美しい藍色に熟す果実は庭木にすれば身近で楽しめそうです。

 花びらの先端がクルクルと巻き上がったこのユニークな花の形はウリノキだけの専売特許ではありません。ウリノキとは縁もゆかりもない樹木で赤くて美味しい実を付けるツツジ科のアクシバも同じような形の花を付けます。

 アクシバが乾燥気味の所でも見られるのに対し、ウリノキは沢沿いなどのやや湿気の多い薄暗い場所で見られます。そのため、大きな葉の陰になる花や果実の撮影には一苦労です。


 さて、ウリノキの実もアクシバのように食べられるのかと言えばこちらは食べられる代物ではありません。ウリノキの名前につられて一度口にしたことがありますが、当たり前と言えば当たり前の話で、ウリノキとは名ばかりのメロンなどとは程遠いとても不味(まず)いものでした。


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by str1685 | 2018-08-18 20:50 | 今月の樹木 | Comments(1)

今月の樹木(2018年07)

菅さん提供

ニガ キ (苦木 落葉高木 雌雄異株 ニガキ科)           

花期45月 果期8

 道すがらに立ち寄った大阪北部にある野間の大ケヤキ。その大きさは日本で五本の指に入ることで有名ですが、毎年アオバズクが営巣することでも知られています。

 立ち寄ったついでに珍しいアオバズクの写真の一枚でも撮ろうかと梢を見渡しましたが中々視界に鳥の姿が入って来ず、場所を変えたところでニガキの木が目に入りました。

 葉の間からは、赤い果実と赤い果柄、さらによく見ると果柄が出ている果序軸までもが赤くなっているのが確認できました。


 日本の伝統色で黒みを帯びた深く濃い藍色の勝色(かちいろ)にニガキの実が熟すのは8月に入ってからになりますが、熟す前の段階でこんなにも赤い状態の実を見たのは初めてのことなので、アオバズクはさておいてニガキの撮影に専念しました。


 日照条件の良い所に生育するニガキの実が赤くなるのか、あるいは日照条件は関係がないのかは観察を重ねないことには断定できませんが因果関係はありそうな気がします。

 ニガキは漢字では苦木で、文字通り葉も材も実も苦いことが知られていますが、どの程度苦いのか実際に葉を口にしたことがあります。噛んですぐには苦味は感じられませんでしたが、少し間を置いてから強烈な苦みが襲ってきてすぐに吐き出しましたが、唾を何度吐き出してもいつまでも苦みが消えず、正に苦い思いをしたことがあります。

 この苦み成分は健医薬として市販のいくつかの胃薬に使われているようですが、樹皮から抽出した成分はかつて殺虫剤としても使われていたそうですから素人療法で使うのは控えた方が賢明です。

 テレビのドキュメンタリー番組で体調を崩した野生のチンパンジーが薬草をかじる場面を見たことが有りますが、日本の猿も苦いニガキをあえて食べることがあったとして、その光景を見た人がニガキに薬効が有ると気が付いたのかもしれません。


 薬用以外の利用法としては材の鮮やかな黄色を活かした寄木細工が有名ですが、材にも薬効が有りそうなのでどこぞで材を手に入れてコップを作り、冷たいビールを注げば薬用成分が溶け出して夏バテで弱った胃に良さそうです。苦いビールが一段と苦くなりそうですが、そこのところは苦み走ったいい男になったつもりで我慢することにいたしましょう。

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by str1685 | 2018-07-23 15:00 | 今月の樹木 | Comments(0)

今月の樹木(2018年06月)

菅さん提供


ガン ピ (雁皮 落葉低木 ジンチョウゲ科)           

                                       花期56月 果期10


 明るく開けた山道の両側に花を付けたガンピが、まるで植えられたかのように並んでいました。日当たりの良い痩せ地を好むこの樹木の性質が良く分かる光景です。

 ガンピは枝垂れた枝という枝の先々に小さなラッパ状の花をまとまって付けます。花の一つひとつは1cmにも満たない長さで花全体の重さはわずかだと思いますが、それでも大きく枝が枝垂れるのは、表皮の下の内皮の部分の厚さに比べて木質部が細いことによるものと思われます。

 内皮は強靭で、楊枝ほどの細い枝でも手で引きちぎるのは容易ではありません。この内皮から作られてきたものが雁皮紙といわれる和紙で、繊維が短く細かい特徴を活かして透き通るような強くて薄い紙を漉くことができるそうです。

 奈良時代には紙を漉く技術も発達して、染料で染めた紙が当時既にあったことや、平安時代には和紙で作った着物も作られ始めたというから驚きです。

 江戸時代初期に伊達政宗がローマに派遣した支倉常長の一行には、鼻をかんで捨てた和紙が余りにも薄くて上質なため、民衆が争って拾ったという逸話が残っています。日本の製紙技術の高さが分かるエピソードです。

 和紙の主な原料はガンピの他にコウゾやミツマタが有りますが、雁皮紙はコウゾの持つ強さとミツマタの持つ光沢感、風合いを兼ねそなえていて、細い文字でも書きやすいことから平安期の女性たちに愛用されたそうです。

 平安の女性たちは、染色された色の異なる薄い紙を重ね合わせ、上の紙を通して下の紙の色がおぼろげに透けて見える二つの色が綾なす色の変化の妙味を(たの)しみつつ(ふみ)をしたためたということです。しかも色の組み合わせに名前をつけ、季節に合わせてそれを選んだということですから、昔の人の紙への深い情愛はプリンターから排出される印刷物しか手に取ることのない現代人から見れば夢想だにできないことですが、言霊(ことだま)という言葉が示すように言葉には霊力が宿ると信じられていた上代には、言葉を書き(しる)す紙にも人々は特別な思いを持っていたと考えてもおかしくはないように思います。

 手漉き和紙の技術の継承者がなく、和紙生産の存続が危ぶまれているという話を聞いて久しくなります。栽培が難しいと言われるガンピそのものも準絶滅危惧種に指定されている所もあるようです。

 可愛い花を付けるガンピも、世界に誇れる和紙も、ともに身近に触れられる存在であ

り続けることを祈ります。

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by str1685 | 2018-06-18 20:48 | 今月の樹木 | Comments(0)
菅さん提供


ナワシロイチゴ(苗代苺 落葉小低木 バラ科)           

                                            花期5月 果期6月

 田舎で日向(ひなた)(いちご)と呼んでいたナワシロイチゴは日の良く当たる土手や石垣に多く見られる苺で、白花がほとんどのキイチゴ属の中では珍しく(べに)(むらさき)の花を付けます。

 漢字で書く苗代苺の苗代とは、稲の種もみを撒き、田植えができる程度まで苗を育てる一定の区画のことで、苗代を作る頃に果実が熟してくることがこの名前の由来になっているようです。


 名前の由来とは裏腹に、苗代を作る時期にはまだ花の段階の地域が多いようで、実際に名前の由来は苗代の時期に花が咲くためとした記述を見ることもあります。

 名前が付けられた当時は稲の改良や稲作の技術も進んでいなかったでしょうから果実の熟す6月頃に苗代を作っていたとも考えられます。

 この花には一風変わった特徴があります。花が開いた様子を見たいと出向いたのですが、萼はこれ以上は反り返られないというほど反り返っていても花は一向に開かず、そのうちに花弁が落ちてしまっているということが何度もあり、まだ蕾が残っているのでチャンスはあると出直してみるといつの間にか果実だけになっているということもありました。

 実はこの花は開くことなく受粉を終え、受粉後の花は花びらを落として萼が閉じ、果実が熟してくると再び萼が開くという特徴を持った花だったのです。つまり、花びらは開かずにずっと裏側だけを見せていて、蕾と思っていたのは受粉後の花の姿だったわけです。萼が閉じるのは果実を守るためと思われますが、花が開かないのは萼の開閉にエネルギーを回して花弁を開くことは諦めた結果なのでしょうか。

 花を良く見てみると、萼は白い包み紙をそっと開いた形で、花は紅紫のしっとりとした茶巾(ちゃきん)(しぼ)りの上品な和菓子のようにも見えます。

 昔の田植えは豊穣を神様に祈って行われ、今でも各地に神事として残っていて、着飾っ早乙女(さおとめ)が田植えをする光景が田植えの季節になると毎年報道されます。早乙女苺はナワシロイチゴの別名で、三葉苺、五月(さつき)苺などとも言われます。

 花びらの表を見せない控えめなこの花には、菅笠(すげがさ)(あみ)(がさ)(まぶか)にかぶった(あで)やかな早乙女の姿が思い浮かぶ早乙女苺の名が一番相応しいように思います。


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by str1685 | 2018-05-20 06:46 | 今月の樹木 | Comments(0)

菅さん提供


イヌシデ(犬四手 落葉高木 カバノキ科)          

                                    花期45月  果期10
 シデの仲間を初めて見たのは樹木に興味を持ち始めた十数年前の季節は夏の終わりころのこと。
小さな葉の形をした
()(ほう)と一体になった種が幾重にも連なって枝にぶら下がった状態になっている樹木を見た時でした。

 このような形の種を付ける樹木にチドリノキという(かえで)の仲間があります。そのうえチドリノキの葉は楓の仲間でありながらイロハモミジのような切れ込みが全く無く、一見するとイヌシデのような葉の形をしていますので、当時生半可にチドリノキの存在を知っていたなら、このシデの仲間をチドリノキと誤認していたと思います。 

 春先に咲くイヌシデの花はいかにも風媒花といった感じの黄褐色の雄花がいくつも垂れ下がり、その先に緑色の苞を持った小さい目立たない雌花が付きます。樹皮には(かい)白色(はくしょく)の縦に白っぽい縞模様が入り、クマシデやアカシデなどシデ類の中では最も()(はだ)の美しい樹木で、公園樹等に用いられてもいるようです。

 シデ類のシデの由来は、()(すい)が玉串や注連縄(しめなわ)などにつけて垂らす稲妻型の四手(しで)(または(しで)垂)に似ていることによると言われています。
 植物名に付く“イヌ”は、本物に比べて劣っているとか役に立たないという意味合いで使われますが、イヌシデの場合はイヌシデより美観や用途で格別優れているシデの仲間は思い当たらないので気になっていました。
 シデの仲間は良く似ていて同定しづらく、その中でイヌシデは若枝や葉に毛が多いことが同定のポイントにもなっていて、毛の多さからイヌと付いたと考えられないこともないですが、そうするとネコや他の動物でなくイヌとなったのには何か訳がありそうです。調べてみると関係ありそうなウラジロカンバという樹木が見つかりました。

 ウラジロカンバはカバノキ科でも属が異なる樹木で、葉裏には白くて長い(ふく)(もう)があってネコシデとも呼ばれているようです。実際にはどうかわかりませんが、ネコシデと区別するためにイヌシデとなったのではないかと思い至りました。

 ネコ派の小生としてはネコシデの長い伏毛とやらをなでたりさすったりしてみたいところですが、居住地からは遠い奈良県の大峰山脈以東でしか見られないというのが少々残念なところではあります。

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by str1685 | 2018-04-26 17:31 | 今月の樹木 | Comments(0)
菅さん提供

クロモジ(黒文字 落葉低木 雌雄異株 クスノキ科)          

                                   花期34月  果期910

 3月に見られるクスノキ科の花はクロモジ以外にはダンコウバイ、アブラチャンがあります。どれも小さな花が(ひと)(かたまり)になって咲きますがダンコウバイやアブラチャンは開花の後に新葉が見られるのに対し、クロモジは開花とほぼ同時に新葉が展開します。新葉は枝先に集まって付き、その形は羽根突き遊びの羽根のようにも見え、その基部に付く半透明の小さな花の集まりと相まって、枝の先々には自然が作る造形美の趣といった感が有ります。


 樹皮や葉には清涼感のある芳香が有り、抽出される精油(エッセンシャルオイル)には様々な薬理作用が有るといわれています。以前にこの香りを嗅いだとき、鼻の通りが良くなったように感じたのは血行促進作用があるといわれるその効用だったのでしょうか。熟すと黒くなる

実にも同じような香りが有るようです。
 香りのよいクロモジは高級楊枝として菓子楊枝や爪楊枝に利用されていて、戴き物の高価な和菓子に切り分け用に表皮の付いたクロモジの楊枝が付いていたことがありましたが、お茶の世界ではこの楊枝のことを楊枝とは言わずに黒文字と言うのだそうです。

 クロモジの名は、若い枝の暗緑色の()(はだ)現れる黒班を墨で描いた文字に見立てて名づけられたというのが通説です。名の由来を知っていても黒班は単なるシミにしか思えませんでしたが、色々な樹木の名の由来を知るにつけ、この説もまんざらでもないように思えてきました。


 木の葉を(いかだに見立て、その葉脈上に付く花を筏に乗る人に見立てたハナイカダの例や、ヤマボウシの名は、花の中央の丸い()穂と(すい)周りの白い(ほう)白い袈裟を(けさ)頭に巻いた山法師(山寺の僧侶)に例えたという昔の人の想像力や発想力の豊かさからすれば、クロモジの黒班も文字に見えたというのも納得できます。

 ところがクロモジの由来に最近別の説を目にしました。それは、昔の貴人に仕えていた女房(高位の女官)の間で使われていた物事を婉曲的に表現する女房言葉の一つに、かもじ(髪)、しゃもじ(杓子)のように語尾にもじを付けるもじ言葉というのがあり、元は黒楊枝と言っていた楊枝を奥ゆかしく黒もじと呼んだというものです。


 昔の宮中の女性たちは、万葉仮名を崩して平仮名の元となったというくずし字で和歌や恋文をしたためていたそうですが、女房の間では楊枝を単に黒もじと呼んだだけでなく、表皮に残る文様を文字通り文字に見立てて優雅に言葉遊びもしていたのでは、と考えてみるのも面白いですね。ひょっとして、文字に見立てたという説の始まりも、本を正せば女房たちだったのかもしれません。そんな思いで改めてクロモジを見てみると、シミに見えていたものが万葉仮名のくずし字に見えてきました。


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by str1685 | 2018-03-06 08:36 | 今月の樹木 | Comments(0)

今月の樹木(2018年02月)

菅さん提供


コナラ(小楢 落葉高木 ブナ科)          

                                     花期45月  果期910

 2月の初めにコナラの幼木に季節外れの紅葉を見ることができました。前年の年の瀬にはこの木の葉は緑色を保った状態だったので、なんと季節を読み違えたコナラだろうと思いながらも、年が明ければ早晩褐色の葉になるだろうと予想していました。

 本来ならこの時期のコナラは冬枯れの木立(こだち)の中でクヌギと共に黄褐色の葉を寒風にさらしています。コナラは紅葉の時期にもそのような褐色の葉のイメージがあることと、葉が色づいても渋みの感じられる控えめな色で目立たないため、紅葉といってもピンとこないかもしれませんが、秋から冬にかけては黄色からオレンジ、赤と変化してやがて黄褐色と多彩な色合いを見せてくれます。赤くなった葉の色は日本の伝統色で植

物のアカネとムラサキとで染めた暗めの赤の(ふか)()(こきひ、こきあけとも)という印象です。


 コナラやクヌギが冬になってもなかなか落葉しないのは、もとは南方系の常緑樹で葉を落とす必要が無かったものが北の方に進出してきたため、葉を切り落とす離層が発達していないことによるという話をどこかで聞いた記憶がありますが、それにしても2月の厳寒期に紅葉が見られるとは思ってもいませんでした。

 この近くでは前年の春にコナラの実生を観察できました。意外だったのはドングリの発根はお尻側からと思い込んでいたのが先の尖った所から発根すること、それとアサガオの子葉のように地上では展開しないということ。つまり、ドングリは地表に横たわった状態で根や芽に栄養を供給しているわけです。光合成をする必要のないほどドングリには栄養が詰まっているんですね。


 花期には黄緑色の雄花が多数垂れ下がって見えますが、雌花は数が少なく小さくて目立ちません。
 花の時期には若木にリンゴのような丸くて小さい赤いものができることがあります。外見も内側もリン
ゴに似て実際食べた人がいるというのも(うなづ)けます。

 この正体は極小な蜂の幼虫の作る食料兼住み家で、その名もナラメリンゴフシという(むし)(こぶ)です。
 マタタビの虫瘤は薬効が知られていてマタタビ酒にしたり塩漬けなどで食べられもしますが、見た目は
コナラの方が断然美味しく見えます。コナラの虫瘤にも薬効が有れば、見た目の悪さでマタタビの方は敬遠する人でもコナラの方なら食べようという人がいるかもしれません。果たしてコナラの虫瘤にも薬効は有るのでしょうか。


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by str1685 | 2018-02-07 14:56 | 今月の樹木 | Comments(0)