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今月の樹木(2019年06月)

菅さん提供


テイカカズラ(定家葛 常緑つる性木本 キョウチクトウ科)          

                                         花期56月  果期1112

 梅雨の走りの頃の山里で樹木にまとわりついたり、岸壁にへばりつくように這い登って白い花を無数に付けたテイカカズラに出会うことがあります。風が吹くと今にもクルクルと回り出しそうな風車(かざぐるま)を思わせるねじれた形の花が特徴的で、そこから漂う香りはジャスミンの香りと表現される香しさ(かぐわしさ)があります。

 漢字表記の定家葛の「定家」は平安時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)にまつわる謡曲「定家」に因んで名づけられたものといわれていて、そのあらましは次のようなものです。後白河上皇の皇女、式子内親王に心を寄せていた定家が、内親王の死後も彼女を忘れられず、ついには本人の死後に葛に生まれ変わって内親王の墓にからみついたという。

 樹木だけではなく岸壁も這い上がれるのは、藤蔓(ふじづる)のように巻き付くのではなく、気根と言われる無数の細い根を蔓から出して岩肌に固着させて自らを支えることができるためです。

 謡曲の題材に選んだ人には垂直の岸壁をも物ともせずに取り付く姿が、定家の執心を表現するのに相応(ふさわ)しいと思えたのでしょうか。それとも、常緑樹でありながら秋にも、冬の間にも、葉が入れ替わる時期の春にも紅葉が混じることから、赤い葉の色が情念の炎に見えたのでしょうか。

 花の形が変わっていれば実の形も変わっていて、秋には一つの花から八の字の形をした豆の(さや)の様な実を結びます。まるで成就(じょうじゅ)しなかった定家と内親王の恋を物語っているかのように、一株に何百もの花を咲かせても実の数は数えるほどしか付きません。熟してくると莢が割けて絹糸のような冠毛を持ったタンポポに似た種子が風に乗って運ばれます。

 テイカカズラの花言葉に「優雅」「優美な女性」があります。甘い香りと花姿からの連想と思われますが、キョウチクトウ科だけに樹液は有毒ですので、甘い香りに誘われて迂闊(うかつ)手折(たお)ったりすると手痛い目に遭いかねませんのでご注意を。

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by str1685 | 2019-06-14 21:47 | 今月の樹木 | Comments(0)

里山の整備・管理活動を行い、自然に親しみながら会員の親睦と健康維持などを目的としています。


by str1685
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