今月の樹木

菅さん提供

アワブキ(泡吹 落葉小高木 アワブキ科)          

                                      花期6月  果期910
 アワブキは谷筋に多く見られる樹木で、幾つもの側脈が並行に並ぶ20cm前後にもなる大きな葉を付け、秋には赤い実を付けます。

 アワブキの名は、材を火にくべると火のついた反対側の切り口から泡が吹き出すことから付けられたというものが一般的ですが、白色の小花が寄り集まって咲いている様子が泡のように見えるためという説もあります。


 花も泡に見えなくもないですが、薪が主な燃料だった昔は切り口から出てくる盛んな泡は他の材と比べて顕著なことから、この泡に因む方言名も幾つかあるようで、生活に密着した前者の説が有力なように思えます。

 かまどに薪をくべてご飯を炊いていた子供時代の頃、薪の端から泡と共ににじみ出る液体を興味本位で舐めて舌を刺すようなえぐみでえらい目に遭ったことがありますが、この液体の成分は、虫除けにも使われる炭を焼くときに出る木酢液と似たようなものでしょうから、舐めてえらい目に遭うのも当然です。

 この時の薪がアワブキだったかどうかは定かではありませんが、野山で木の実などを見るとつい口に運んで味を確かめてみたくなる性分は、今にして思えばこの頃から培われていたようです。


 泡と言えば、左党の人はビールの泡を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、水の泡、泡を食うなどのように泡を使った言葉はいい意味ではあまり使われません。泡を吹くと言えば気を失って倒れるという意味で、まともに稼いだお金でないものをあぶく銭という言い方をしますが、あぶくは「泡沫」(あわぶく)が語源とも言われています。


 樹木のアワブキも用途の面からみれば、材は割れや狂いを生じやすいので木材には適さず、せいぜい薪として利用される程度という評価がもっぱらです。

 人の役には立たなくても、万華鏡をのぞいた時のような幾何学模を翅に持つスミナガシという美しい蝶の食草になったり、秋の実は鳥たちのご馳走になり、自然界では立派な役割を持っています。

 庭木や公園樹としては見かけませんが、真っ赤な実と共に大きな葉の黄葉も美しく、もっと高評価されても良い樹木の一つだと思います。

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by str1685 | 2018-10-20 19:23 | 今月の樹木 | Comments(0)