今月の草本(2018年8月)

菅さん提供


クサアジサイ(草紫陽花 アジサイ科)           

                          花期8月~9月 

 立秋が過ぎて虫の声を聞くようになった8月の半ば過ぎ、とっておきの場所にお目当ての花を見に行きました。日中はまだまだ日差しが厳しいのですが、ここは山からの湧水(わきみず)の流れる沢のほとり..。ふた月ほど前に咲き終えたヤマアジサイの花殻を横目にして小さな滝から聞こえる水音を耳にしながら進んでいくと、期待にたがわずその花は咲いていました。


 この時期にこのような涼しげなところに咲いてくれているのがアジサイの仲間のクサアジサイ。名前にクサと付く通り、草本の多年草のこの山野草は木本のアジサイに比べるとか弱そうで花も数日で散ってしまいそうに見えますが、以外と長期間花を見ることができます。

 同じような環境に咲くヤマアジサイと比べると大きな装飾花も小さな花の集まりの両性花も繊細な感じがして、開花前の丸い蕾の縞模様は、美しい色糸を幾重にも巻いた日本に古くから伝わる優美な手毬(てまり)を連想させます。最初は垂れているこの幾つもの蕾が日ごとに立ち上がり、次々に咲いていくので長期間花が楽しめる訳です。


 花色はピンク色のものを多く見ますが株によって濃淡があり、さらに紫がかっているものや純白のものなどさまざまですが、ヤマアジサイに見るような青い花は見られません。

 木本のアジサイの花色は、土壌の酸性度(pH)で青や赤に変化することが知られていますが、クサアジサイはその影響を受けないのか、青いヤマアジサイが見られる近くに咲くものでも青い花にはならないようです。


 クサアジサイの青い花も見てみたいものですが、地域によっては白い花しか見られないところもあるようなので青い花を期待するのは贅沢というものでしょう。

 公園や家庭園芸で目にする装飾花が全体に丸く集まって咲く豪華で見応えのあるアジサイは野生種のガクアジサイを改良した園芸種ですが、人の手が加わっていないいかにも草という印象を持ち、(たなごころ)に隠れてしまいそうな花を咲かせるクサアジサイは、容易に手折(たお)ってしまえそうな華奢(きゃしゃ)可憐(かれん)な美しさを感じさせ、園芸種のアジサイとは一味違ったこれぞ山野草という魅力と味わいがあります。


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by str1685 | 2018-08-27 21:49 | 今月の草本 | Comments(0)