今月の樹木(2016年07月)
2016年 07月 25日
ウワミズザクラ(上溝桜 落葉高木 バラ科)
花期4~5月 果期7~8月
梅雨明け頃になるとウワミズザクラの実が色づいてきます。緑色から始まって黄、オレンジ、赤と変化して熟しきると黒くなりますが、一つひとつの実の熟し度合いが異なるため、一つの果軸でもカラフルな実が見られます。
ブラシ状に花が集まって咲くウワミズザクラは花見の対象にされる桜ではありませんが、さくらんぼは当然花と同じように集まって付くので、色づく時には野生のさくらんぼの中では際立つ綺麗さで見応えがあります。
このさくらんぼは野生のさくらんぼの中では苦みが少なくて食べやすい方ですが、味の点では市販のさくらんぼには到底かないません。
ウワミズザクラをもっと味わうには、新潟県を中心に食用にされている杏仁子(あんにんご、杏仁香とも)というものがあります。未熟な実や蕾を塩漬けにしたもので、杏仁豆腐でおなじみの杏子(あんず)の種子の白い胚乳のところの香りがすることからそう呼ばれていて酒の肴にぴったりとか。
その杏仁子、試に作ってみました。出来上がりはほのかな酸味といい香りの一品に仕上がりました。香りの成分はクマリンと呼ばれるもので、桜餅を包んでいる塩漬けされたオオシマザクラの葉と同じ香りがします。クマリンと動物の熊との間に何か関係が有るのか無いのか良く分かりませんが、ウワミズザクラの実はツキノワグマの大好物だそうです。この実を焼酎に付け込めば芳醇な香りの果実酒ができます。
この山の幸、熊さんにおすそ分けしてもらってお相伴にあずかりましょう。