今月の草本(2016年8月)
2016年 08月 23日
ミヤマウズラ(深山鶉 常緑多年草 ラン科)
花期8~9月
8月といえばお化けが話題になる季節ですが、山で出会えるお化けにそっくりの花があります。
お化けといっても日本のお化けではなく、シーツをかぶって両手を広げたような格好のハロウィンのお祭りに出てくる西洋のお化けです。
こんな花を付けるのがラン科のミヤマウズラで、林内のやや湿っているようなところをさがせば、名に有る深い山でなくても低地の山でも目にすることがあります。
草丈は花茎が伸びた花の時期で15~16㎝前後で、花茎の無い冬場には落ち葉に埋もれてしまわないかと心配になるほどの小型の蘭です。花の大きさも1㎝にも満たないほどで形だけでなく良く見れば目と口に見えるところがあって、さらにお化けの印象を深くしてしまいますが、何とも愛嬌のあるお化けといった感じです
花の形は見ようによってはよちよち歩きの鳥のヒナにも見えて、そこから鳥にちなんだ名が付いたのでは思ってしまいますがそうではなく、葉に有る白い模様が鳥のウズラの羽の模様に似ていることから来たということです。
古くから山野草の愛好家の間では、ミヤマウズラの葉の模様の入り具合を観賞価値の基準にしていたとかで、こんな小さな葉の模様を愛でる日本人の機微の細やかさに改めて感服せずにはいられません。