今月の樹木3月 (2014年3月)
2014年 03月 15日
ヒサカキ (姫榊 常緑小高木 雌雄異株 ツバキ科)
花期3~4月 果期12~1月
春まだ浅い3月半ば、山道を歩いていると近くの樹木から盛んに虫の羽音が聞こえてきます。どうやらヒサカキの蜜を求めに昆虫が集まってきているようです。
長く厳しい冬を乗り越えた虫たちがヒサカキのふくいくとした春の香りに誘われて・・・、と表現したいところですがとんでもありません。この花の匂いはガスの匂いとか、たくあんの匂い、人によっては死臭と表現するほどの匂いなのですが、それほどでなくても良い香りというには程遠い感じの匂いなのです。見た目には直径5㎜ほどの小さな花なので、それほど強い匂いがするようには思えませんが、枝にびっしりと付けるのでかなり離れたところからでも感じ取ることができます。
テレビでこの匂いの正体を探るという番組もあったようで、何とも人騒がせな木でもあります。腐臭でハエの仲間をおびき寄せる花も知られており、ヒサカキもその類では、という説もあるようですが、この花には蝶の仲間や蜜蜂も集まってきますのでこの説が唯一正しいとも言い切れないように思います。あるいは、この花には虫を引き付ける人には分からない何かがあるのかもしれません。
何はともあれ、春の山歩きで異臭に遭遇しても近くでヒサカキが咲いていれば事件ではありませんのでご安心を。
ヒサカキは白色の花と赤色の花を咲かせるものが有ります。